Summary

  • ウニオン・ベルリン移籍後も高い人気を誇る内田
  • クラブの公式ツイッターはフォロワーが急増中
  • 家族的クラブは日本のファンを巻き込んだ大きなファミリーへ

現代サッカーにおいて移籍が成功したかどうかは、選手のピッチ上での能力だけではなく、ピッチ外での人気も大いに関係してくる。ソーシャルメディア上での人気は、サッカー界において最も手に入れにくい金銭的な価値を持っている。したがって、クラブが新たな選手の獲得に動く際にSNSでの人気を重要視することも多い。

2015年にチチャリートがレーバークーゼンに加入した時、クラブはすぐにスペイン語の公式ツイッターアカウントを開設。ピーク時には10万人以上のフォロワーがつく人気アカウントとなった。バイエルン・ミュンヘンは今夏にハメス・ロドリゲスを獲得したが、彼の移籍決定後にもともと多かったオンラインのフォロワー数はさらに増大している。

それらを考慮すると、内田篤人がウニオン・ベルリンでまだ試合に出場していないという事実は、クラブや新たに増えた大勢のサポーターにとって大きな問題ではないのだろう。内田は日本代表として74キャップを誇り、2014年のワールドカップでは全試合にフル出場した。日本で最も有名なサッカー選手の一人であり、ネット上でも人気者だ。そして、日本以外でも人気を誇っていることを示す数字もある。

ウニオンが内田の獲得を発表した際のツイートに対するリツイート数は実に5600回。これは通常のツイートに対する反応が寂しいものに思えるほどだった。以降、ウニオンの公式ツイッターのフォロワー数は急増し続けている。

また、内田が7年間過ごしたシャルケの日本語版公式ツイッターのフォロワー数は、内田の移籍後もヨーロッパのクラブでバルセロナとレアル・マドリードに次ぐ3位を維持。ブンデスリーガの日本語版公式サイトでも、ウニオン関連の記事は内田の移籍を機に3番目に多いクリック数を獲得している。

内田は2012/13シーズンに当時のバイエルンの主将フィリップ・ラームを抑えてブンデスリーガのベストイレブン(右SB部門)に輝き、2016年にブンデスリーガが行った人気投票ではベスト4入りを果たした。この年は負傷により公式戦に全く出場していなかったにもかかわらずだ。

さらに興味を引く事実は、言語の違いが障害にならなかったということだ。シャルケの有料テレビ『シャルケTV』は、加入申込方法を始めとするすべてがドイツ語で表記されているが、大勢の日本人サポーターが言葉の壁を乗り越えて視聴の契約を結んでいる。

もっとも、ウニオンはマーケティング目的で選手と契約するようなクラブではないことを記しておかなければならない。むしろ、クラブは選手としての実力を買って内田を獲得している。今夏はエマヌエル・ポガテッツとベンジャミン・ケセルがチームを去り、クラブは移籍市場で優秀なDFを探していた。イェンス・ケラー監督はシャルケ時代にも内田を指導したことがあり、彼のことをよく知っている。内田もウニオンのブンデスリーガ昇格に向けて働けることを楽しみにしている。

ウニオンの広報部長クリスティアン・アルバイト氏は、内田がどれほど人気者なのかをよく理解している。だが、内田を使って熱心に商売をするつもりはなく、あくまでもピッチ上での成功とブンデスリーガ昇格が重要だと語っている。

「内田を獲得して以来、ツイッターのフォロワーがたくさん増えた。内田の名前入りのユニフォームは十分に用意している。だが、現時点で日本語のホームページを用意したり、内田のグッズを作ったりするつもりはない。我々にとって重要なのはチームのことなんだ」

内田の獲得でウニオンが海外でも知られるようになったのは間違いない。しかし、このクラブの姿勢は一部の人たちの間で年々人気が増しているクラブらしい話の一つなのだろう。

大勢の人たちが集まってクリスマスソングを歌ったり、ワールドカップのドイツ戦をピッチに持ち込んだソファーの上で観戦することを許したりするクラブだ。2015年の初頭にはがんと診断されたベンヤミン・ケーラーの契約を直ちに延長したこともあった。

ウニオン・ベルリンは家族経営のようなクラブだ。そしてその家族は内田の加入によって、9000キロ以上離れた人口1億2700万人の国を含むほどの大きなファミリーに成長したのである。